一軒家でインターネットを使っていると、
- 鉄筋コンクリートの家で2階や3階にWi-Fiが届かない…
- 一軒家の2階でインターネットがプツプツ途切れる…
- Wi-Fiが届かない部屋があって不満…
といった問題に悩まされることがあります。
Wi-Fiの電波は、ルーターのアンテナを中心に円形に波及しますが、一般的にはアンテナから水平(横)方向への電波が強いとされています。
また、Wi-Fiは壁や床などの障害物に弱いので、ルーターを設置した部屋から幾重もの障害物がある部屋では、Wi-Fiが不安定になってしまいます。
最近では、家庭用の無線LANルーターでも高性能な製品が登場していますが、それでもコンクリートに覆われた壁に阻まれると、Wi-Fiがもろにその影響を受けてしまうのが現状です。
本記事では、一軒家で2階や3階にWi-Fiが届かなくてお困りの人に向けて、快適なインターネット環境を構築する方法をご紹介します。
Wi-Fiを2階まで飛ばしたい人がハマりがちな落とし穴・注意点
一般的に、「Wi-Fiルーターを2台や3台に増やせば速度も速くなるのでは?」と考えられがちですが、実は逆に速度が遅くなるケースが多いのでおすすめできません。
そこで、Wi-Fiを2階や3階まで飛ばしたい人がハマりがちな落とし穴や注意点から確認していきましょう。
無線LANルーターの複数台設置ががおすすめできない理由
Wi-Fiを速くするために、一軒家に無線LANルーターを複数台設置する方法はおすすめできません。
その理由は次のとおりです。
- 適切な設定ができないと「二重ルーター」になる
- 二重ルーターになると通信速度の低下や電波干渉が発生する可能性がある
- 外出先からのIoT家電の操作や、PS4/PS5、Nintendo Switchなどのオンラインゲームができなくなる
- ルーターの購入費用などのコスパが悪い
- 古いルーターだとそもそものスペックが低い
適切な設定をしないままWi-Fiルーターを2台設置すると、二重ルーターと呼ばれる状態になります。
二重ルーターになると、接続する通信回線を決める「ルーティング」が複数回行われることになり、通信速度の低下を招く恐れがあります。
二重ルーターはセキュリティ面が向上するというメリットがありますが、それが影響して、外出先からのIoT機器の操作、オンラインゲームができなくなるなどのトラブルも発生します。
これらの理由から、一軒家で2階までWi-Fiを届けるためにルーターを2台設置する方法はおすすめできません。
【参考】大企業では複数のアクセスポイントを活用してWi-Fiを遠くまで飛ばしている
一般家庭では普通無線LANルータを一台配置し、そこから各種パソコンやスマホ、タブレットをインターネットに接続しています。
しかし、これが大きい会社等になると当然一台では不可能ですよね。

大企業はもちろん、小さな事務所を除くほとんどの企業では無線LANを導入する際、「アクセスポイント(AP)」と呼ばれる機器を設置します。
こんなやつです。アンテナ内蔵タイプのもあります。

一般的な中小企業だとこんな感じ。一階のルータからハブ、ハブからLANケーブルで各階のアクセスポイントに繋いでネットワークを構築します。

アクセスポイントの複数台設置はとにかくお金がかかる
アクセスポイントは基本的に法人向けの通信機器なので、価格が高額で家庭向けの製品としてはほとんど販売されていません。
また、一般家庭で会社と同じようなアクセスポイント方式を採用すると、以下のイメージです。

それぞれのルーターをインターネットに接続するために複数の配線が必要になるので、部屋の景観を損ないます。
それにくわえ、ルーターやケーブルの準備費用、配線や設定などの手間と時間がかかるので、一般家庭向けとしてはおすすめができません。
一軒家で1階から2階にWi-Fiを飛ばすための2つの方法

一軒家で1階から2階にWi-Fiを飛ばす方法としては、次の2つが挙げられます。
それぞれの方法について、わかりやすく解説していきます。
1.中継機を使ってWi-Fiエリアを広げる
- ケーブルの配線が邪魔だなぁ…
- ルーターを複数買うのがもったいないなぁ…
こういったお悩みを持っている人におすすめの方法が「中継機」です。
中継機とはその名のとおり、Wi-Fiの電波を中継してより遠くまで飛ばすための通信機器のことをいいます。
上記のような中継機を2階の階段付近に設置すると、1階のWi-Fiルーターからの電波を中継して、2階や3階までWi-Fiが届くようになります。
中継機の使い方
中継機を購入してから、自宅で設定する方法も非常に簡単です。

- 中継機についている「WPSボタン」を約2秒間プッシュ
- Wi-Fiルーター (親機) の「WPSボタン」をプッシュ
たったのこれだけで、親機として使うWi-Fiルーターと、新しく購入した中継機を接続することができます。
なお、中継機のメーカーによって、若干操作内容が異なるので、詳細については取扱説明書をご確認ください。
中継機のメリット・デメリット
中継機を利用するメリット・デメリットは、次のとおりです。
中継機を利用すれば、一軒家の2階や3階でもWi-Fiの電波が届くようになります。
その一方で、数多くの中継機は同じ周波数帯のWi-Fi電波を同時に送受信できないので、親機から受信した電波の通信速度が半減してしまう可能性があります。
中継機はあくまで、親機の電波を中継して遠くまで飛ばすためのものなので、そもそもの親機の性能が低い場合は中継機でも改善できません。
「デュアルバンド同時接続」に対応の中継機を利用すれば、通信速度の半減は回避できるので、中継機を購入する場合は参考にしてください。

2.メッシュWi-Fiに変えて複数のルーターに増やす
2つ目の方法は、新しく登場した「メッシュWi-Fi」を使う方法です。
メッシュWi-Fiとは、Wi-Fiルーターを網目状(メッシュ)に張り巡らせて、それぞれを連携させてWi-Fi環境を構築するルーターのことを指します。
メッシュWi-Fiは、ONUに接続したメインルーターと、子機のサテライトルーターの2種類に分けられ、常に相互で通信を行って負荷を分散することが可能です。
さらに、サテライトルーターはメインルーターと同じように電波を発するので、壁や床などの障害物があっても電波が弱くなることはありません。
これらの理由で、通信速度の低下を招くことなく、快適なインターネット接続ができるようになるのです。
メッシュWi-Fiの使い方
メッシュWi-Fiの使い方は非常に簡単です。
各メーカーから販売されているメッシュWi-Fiのセットを購入。
メインルーターをONUと接続し、その後でサテライトルーターをメインルーターと接続して各部屋に設置するだけでOKです。
メインルーターとサテライトルーターは、自動的に接続設定がなされるので自分ですることはほとんどありません。
設置型や壁掛型、コンセント設置型など、さまざまなタイプが販売されているので、ご自身のお住いに合わせて選べるところもおすすめのポイントです。
メッシュWi-Fiのメリット・デメリット
メッシュWi-Fiを利用するメリット・デメリットは、次のとおりです。
メッシュWi-Fiは、メインルーターとサテライトルーターを部屋内の様々な場所に設置して、全体で相互通信を行うことでWi-Fi環境を構築します。
それぞれが単独で電波を発するので、一軒家の2階や3階でもWi-Fiを届けることができ、快適な速度でインターネット接続ができるようになります。
また、サテライトルーターだけを購入して簡単に増設もできるので、少し電波が弱く感じる部屋に追加で設置したいときにも便利です。
その一方で、メッシュWi-Fiの購入費用がかさんでしまう点や、親機単体で利用するのに比べて若干の速度低下がある点がデメリットです。
また、LANポートの数にも限りがあるので、接続の安定性を重視して有線接続をしたい場合にも不向きと言えます。
非常に便利なメッシュWi-Fiですが、これらのメリットとデメリットを理解した上でお買い求めください。
中継機とメッシュWi-Fiの違いは?
中継機とメッシュWi-Fiの違いは、主に次のとおりです。
- 中継機はあくまでWi-Fi電波を中継するだけなので、接続時の負荷は親機にかかる
- メッシュWi-Fiはメイン・サテライトそれぞれがWi-Fi電波を発するので、それぞれに負担が分散できる
- Wi-Fi接続する際、中継機は自分でSSIDを指定して接続するが、メッシュWi-FiはSSIDがシェアされているので自動接続が可能
中継機は、親機から発せられるWi-Fiの電波を中継して遠くの部屋まで飛ばす仕組みです。
そのため、スマホやパソコンを中継機に接続しても、その負荷は親機にかかってしまいます。
また、中継機を利用する場合は、接続先に指定するSSIDを手動で切り替えなければなりません。
一方のメッシュWi-Fiは、メインとサテライト、それぞれが電波を発しているので負荷が分散できます。
負荷が分散されることでWi-Fiルーターの性能低下を防げるので、結果として通信速度が低下することはありません。
さらに、メッシュWi-Fiはメインとサテライトで同じSSIDをシェアできるので、どの部屋でも自動的にインターネットに接続できます。
ルーターの中継機設置に関するQ&A
2台目のルーターや中継機設置についての質問とその回答についてまとめました。
中継機をたくさんつけたらスピードは速くなりますか?
親機の電波が届く範囲内では親機の電波を直接キャッチしたほうが速度は速いようです。
なのでやみくもに中継機を増やしても意味はありません。
電波の届かない場所に届かせるためにだけ設置しましょう。Wi-Fiルーターに接続できる台数は決まってますか?
ルーターによって同時接続可能台数が決まっています。
ひと昔前の機種だと10台以下ということもありましたが、最近のルーターは18台というものが多いです。
オフィス用の機種だと100台以上接続可能なものもありますが、その分ルーターの価格も高くなります。中継機を使ってもあまり速くならないので長いLANケーブルを使って有線接続しようと思うのですが、長いケーブルだとスピードは落ちますか?
無線よりもスピードがでることは間違いありません。
長いケーブルを使っても大丈夫です。10mと100mのケーブルのスピードの違いはほとんどありません。ONUにルーターを2台つないだら電波は強くなりますか?
なりません。性能低下につながります。
ただし以下のようにONUとルーター2台を直列につなぐ場合はその限りではありません。
ONU
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ルーター
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ルーター(ブリッジモード)ルーターのブリッジモードとはなんですか?
ブリッジモードは2台以上のルーターを使う場合に利用する機能です。
ルーターモードはアクセスポイントを特定し、インターネット上の接続先を見つける機能がオンになっていますが、ブリッジモードではOFFになっています。
そのため、ONU機器との間にルーターモードになっているルーターが設置されている必要があります。ONU機器とはなんですか?
光ファイバーで届けられた光信号をデジタル機器で使える信号に変換する機械です。
光回線業者が開通工事の際に設置していきます。同じようなSSIDが2つあるのですがどちらを選んだらいいですか?
ルーターの背面を見ると機種によっては2つのSSIDが書かれています。
2.4GHz(ギガヘルツ)と5GHzの2つの周波数帯が選べるためです。
それぞれにメリットとデメリットがあるので使い分けましょう。- 2.4GHz:5GHzよりも遠くまで電波が届く
- 5GHz:他の無線機器の電波干渉を受けづらいので安定している
5GHzが使えるなら5Gを選び、5Gが出ないなら2.4Gを選べばいいと言えますね。
ねとみ最近話題の「5G(ファイブジー)」とは違うので、勘違いしないように気をつけましょう!