光回線          

光回線とプロバイダの違いについて、通信業界の歴史から解説します

通信業界の歴史、黎明期から今日までを語る

この記事はどちらかというと通信業界関係者向きとなっています。

本ページの内容、画像は流用頂いて構いませんが、引用元のご記載をお願いします。

「光回線について調べているけどいまいちわからないことが多い・・・」

「プロバイダって何なんだろ・・・」

「おすすめプロバイダについて調べたら光回線のおすすすめが紹介されてる??」

「そもそも光回線とは?」

「プロバイダとは?」」

通信、プロバイダ業界は変化が激しく、また業界に従事している人の入れ替わりが激しいため、正確な情報が非常にわかりにくくなっています。

本ページでは光回線、プロバイダとは何か?違いについて、歴史を振り返りながらわかりやすく解説します。

そもそもプロバイダって何?

プロバイダとは?

と検索すると、「Internet Service Provider」の略と出てきますよね。

一昔前は、というか今もだと思いますが、プロバイダ業者のことを業界内では「ISP」と呼びます。

「Internet Service Provider」のProviderの部分をとって一般的にプロバイダと呼ばれるわけです。

では「Internet Service Provider」とは何でしょうか?

直訳すると、「インターネットサービス提供者」となります。

そのため広義的にみればインターネットサービスを提供している会社はすべてプロバイダということになりインターネットサービスを提供している会社はすべてプロバイダとなります。

広義のプロバイダ

インターネットサービスを提供している会社はすべてプロバイダということであれば、携帯電話会社のドコモやソフトバンク、auはどうでしょうか?

一般的に「キャリア」と呼ばれるこの3社を「プロバイダ」と呼ぶ人はおそらくほぼいませんよね。

ですが、上記3キャリアは各社スマホを通じてインターネットに接続出来るサービスを提供しています。

そのため、ドコモ、au、ソフトバンクの三者とも広義的にみれば間違いなくプロバイダ(インターネットサービス提供者)となります。

また、携帯3社以外にもWiMAXを提供しているUQコミュニケーションズや、格安SIMを提供している楽天モバイル、DMMモバイルなどもISP(プロバイダ)に当たります。

ですが、後述する歴史的背景によって、携帯3キャリアやUQコミュニケーションズ、格安SIM業者などはプロバイダと呼ばれることは一般的にありません。

インターネット黎明期のプロバイダ

「プロバイダ」という用語が一般的に普及し始めたのは90年代後半からで、ダイアルアップ接続からADSLが普及し始めた頃だと思います。

■ 1999年~2001年

Broadband Watchが創刊したのはYahoo! BBの始まった2001年だが、日本のブロードバンドでは1999年に商用ADSLがスタートし、FTTHもYahoo! BBより早い時期にBフレッツが開始された。このためBroadband Watch創刊前の時期に関しては、INTERNET Watchの記事から関連する話題をいくつかピックアップしている。

Yahoo! BBの登場でADSLは料金、速度ともに競争が勃発。イー・アクセスやアッカ、NTT東西も8Mbpsサービスへ参入し、ADSL加入者数は100万人を突破した。一方、Yahoo! BBがADSLの展開に必要な収容局内のコロケーションスペースを大量に保有するという手法が問題視され、総務省による公開ヒアリングが実施される事態となった。

年表で振り返るブロードバンドの歴史|BBWatch

この頃はインターネットを選ぶ際に「プロバイダをどこにするか?」という言葉が適切でした。

というのも、電話回線やISDNを使ったダイアルアップとADSLは、回線自体はNTTの回線を利用しており、DIONやYahooBBなどを代表するプロバイダがインターネットを提供するという形になっていました。

そのため、当時のインターネット契約は、

「ダイアルアップ(またはADSL)のプロバイダどこにする?」

という会話が自然でした。

その後、光回線のフレッツ光(Bフレッツ)が普及し始めましたが、フレッツ光も同様にNTT回線で光回線もインターネットサービス(接続)を提供する会社はプロバイダとなっています。

そのため、

「プロバイダどこにする?」

という会話がやはり自然でした。

 

こういった流れで、

「プロバイダ」=「インターネット(今は光回線が主流)」

という解釈が一般的になったのです。

また、この頃価格ドットコムなどの比較サイトでも、

「(フレッツ光の)プロバイダ比較ランキング」

と表記されるのが一般的でしたね。

光回線とは?

次に光回線とは何か?

について解説します。

これはすごくシンプルで、光回線とは光ファイバーケーブルを使ったインターネット回線です。

ちなみに光回線は利用者に伝わりやすい俗称のようなもので、正式にはFTTH(Fiber To The Home)と呼ばれる通信サービスです。

光ファイバーケーブルって何?

光ファイバーケーブルとは通信ケーブルの一種で、石英ガラスというガラス繊維で出来ています。光ファイバーはイルミネーションなどでも使われています。

イルミネーションでも使われる光ファイバー

一般的に通信ケーブルといえば銅などの金属が利用されますが(LANケーブルや電話ケーブルも銅で出来ています)、光ファイバーはガラスで出来ています。

光ファイバーは従来の銅線に比べてより多くのデータを、より長距離で損失なく通信が出来る優れものです。

光回線網を保有している会社は大きくは2社しかない

従来のインターネット(ADSL)は電話回線を利用したインターネットサービスでした。

電話ケーブルは多くの人家で普及していたため、新しく敷設する必要はなく、機器の取り付けとプロバイダ接続作業で接続が可能でした。

しかし光回線はまったく新しい光ファイバーケーブルを利用した回線なので、新しく敷設する必要があります。

2020年、光回線は全国的に多くの世帯で利用することができ、契約者数は2020年には3300万件に昇ると言われておりますが、実は全て人力でケーブルを敷設しています。

電柱から電柱へ伝って光ファイバーケーブルを敷設しているわけです。

実はこのケーブルの敷設工事を実現できたのは大きくわけて2社しかありませんでした。

一つはNTT、もうひとつは電力グループです。NTTは東西、電力は各地域でわかれているため、厳密には2社ではありませんが、大きくわけてこの2社しか光回線の設備を構築していません。

ちなみにかなり余談になっていますが、なぜこの2社しか光回線の通信網を構築出来なかったかと言うと、光ケーブルの敷設に電柱が必要だったからとされています。

日本の電柱は、

  • NTT保有の電信柱
  • 電力会社の電力柱
  • 両者共有の電柱

のいずれかが大半となっています。

光ケーブルを敷設するには電柱と、それを利用した敷設工事のノウハウが必要だったため、NTTと電力会社以外にはハードルが非常に高かったのです。

現在光回線と呼ばれるサービスは数十~数百以上ありますが、そのどれもがNTTまたは電力グループが敷設した光ケーブルを利用したサービスとなっており、そのうち実に70%以上がNTT所有となっています。

※NTT東・⻄の光アクセスのサービス卸について・2014年7⽉1⽇・KDDI株式会社|総務省より引用

光回線の歴史

プロバイダと光回線の違い、について解説する前に簡単に光回線の歴史について解説しましょう。

2014年までは光回線サービスは数えるほどしかなかった

上述した通り、光回線はNTTと電力グループ以外の参入が難しかったため、光回線を提供する会社は実は数社しかありませんでした。

  • NTTが提供するフレッツ光
  • 電力グループが提供する光回線(中部電力のコミュファ光、中国電力のメガエッグなど)
  • 紆余曲折あって2009年に誕生したauひかり

のいずれかで、NTTのフレッツ光が圧倒的にシェアを持っていました。

表向きの形は変わりましたが、光回線は現在も上記3つのいずれかに該当し、NTTが圧倒的シェアを誇っています。

【2019年の光回線シェア割合】

  • NTT東西:約66%
  • auひかり:約12%
  • その他:約22%

ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2019年9月末時点)|MM総研

2015年2月から光回線の種類が劇的に増える

2020年、現在光回線は紆余曲折あって様々な業者が提供しています。

まず大きな変化があったのは2015年2月からスタートした、フレッツ光の卸販売による光回線の再販です。

元々フレッツ光は「フレッツ光」と「プロバイダ(インターネットを接続するサービス会社)」の2つを契約するという体制で提供が行われていました。※現在もフレッツ光はこの形を維持しています。

そのため、フレッツ光の契約は、「フレッツ光(東西のいずれか)」と「プロバイダ(OCNやYahooBB)」の2箇所を契約し、

  • OCN光 with フレッツ
  • YahooBB光 with フレッツ

というサービスで提供されていました。

2箇所での契約は時期にもよりますが、基本的に契約書の書面は一枚で済みました。が、解約は2箇所行わなければいけません。

NTTとプロバイダと2箇所を契約しないとサービスが使えない・・・

という今考えても謎な契約方法は、おそらく一般的な家庭で契約するサービスとしては異例だと思います。

これが利用者にとってかなり煩わしく、わかりくかったためなのか、2015年2月からプロバイダ(OCNやYahooBBなど)がフレッツ光を卸値で購入して再販する「光コラボレーションモデル」が開始されました。

なぜプロバイダが別契約だった?

なぜフレッツ光はNTTとプロバイダが別契約だったのか?

上述した通り、フレッツ光は光回線の設備を保有しているNTTとプロバイダの二重契約をしないとインターネットを利用出来ないという、一般家庭向けのサービスとしては異例の構造をしています。

なぜこのような契約体制になったのか?

これはおそらく独占禁止法が絡んでいるのではないかと思います。

光回線の70%以上の設備をNTTが保有しているため、NTTがISP(プロバイダ)として光回線を販売してしまうと、他社は全く太刀打ち出来ません。

そのため、保有しているNTTは自社でのインターネット販売(プロバイダ事業)を禁止され、プロバイダが間に入るという形になったのだと思います。

ただし回線自体はNTTが保有、管理しているので、その分は還元されるように、

  • 回線そのもの→NTTと契約
  • インターネット接続→プロバイダと契約

となったのです。

ちなみにNTTにはOCNやぷららというグループ企業がありますが、これらも他社プロバイダと平等に扱うように総務省から促されていたはずです。

auひかりは併合によって今の形に

auひかりの前進はKDDIが2003年10月にサービス開始した光プラスというサービスのようです。

その後、東電グループ企業が提供していたTEPCOひかりと統合し、2006年にひかりoneというサービス名称で提供されました。

その後、2010年に現在のauひかりに名称が変更されたようです。

サービスが開始された当初の光プラスはNTTの通信網を利用したサービスとなっていましたが、TEPCOひかりと統合し、auひかりはNTTと電力グループの両方の通信網を利用するサービスとなっていました。どちらも使うのではなく、エリアによって違うイメージです

現在は旧TEPCOひかりはほぼサービスが終了し、NTTの回線網を利用したサービスとなっています。

光コラボレーションモデルによって◯◯光が乱立

上述した通り2015年2月よりフレッツ光の卸売販売がスタートし、それによってプロバイダ各社が光回線の提供を開始しました。

先立って開始されたのはビッグローブ光。光コラボレーションモデルスタートと当時に2015年2月1日にサービスが開始されています。

ビッグローブ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役会長兼社長:中川 勝博、以下BIGLOBE)は、光インターネットサービス「ビッグローブ光」を本年2月1日午前9時より提供いたします。

プレスルーム|ビッグローブ

その後、So-netがSo-net光コラボレーションを、OCNはOCN光、NTTぷららはぷらら光を同月にサービス開始しています。

ソフトバンク光、ドコモ光の提供開始は3月になってから。やや遅れてのスタートでした。

光コラボレーションモデルはプロバイダ以外の業者の参入も増加し、

  • PCデポが提供するozzio光
  • TSUTAYAが提供するTSUTAYA光(新規提供終了しています)
  • エディオンが提供するエディオン光(新規提供終了しています)
  • ビックカメラとIIJmioが提供するビック光

など無数にあります。

そのほとんどが2017年頃に新規受付を終了しましたが・・・

ドコモ光とauひかりのプロバイダがわかれている理由

フレッツ光のプロバイダがわかれている理由は上述した通りです。

2015年2月以降にスタートした新しい光回線も再販によって一本化しているのでプロバイダはわかれていません。

OCN光ならOCN、ソフトバンク光ならYahooBBしか選ぶことは出来ません。

しかし今提供されている光回線でも、ドコモ光とauひかりはプロバイダを選ぶことが出来ます。

これはなぜか?

まずauひかりについてはおそらく単なる販売戦略からだと思います。

auひかりはフレッツ光に比べて後発だったこともあり、自社だけの販売力では利用者獲得が難しかったはずです。

そこで多くのインターネットユーザーを抱えるプロバイダ(ビッグローブやSo-net、@niftyなど)と提携し、ユーザー獲得を試みたのではないでしょうか。

次にドコモ光ですが、これはやはり独占禁止法が絡んでいると思います。

実はかつてauひかりを運営するKDDIはドコモ光を恐れて光コラボレーションモデルに反対していました。

本来であればNTTの在り⽅が整理されるまでは光アクセスの“サービス卸”は認められるべきではないと考えます

中略

“巨⼤な”顧客基盤を持つNTTドコモが、最も良い提供条件で“サービス卸”を受けるということに他ならないのではないか。

NTT東・⻄の光アクセスのサービス卸について・2014年7⽉1⽇・KDDI株式会社|総務省より引用

結局この通り、ドコモ光が一人勝ち状態になってしまっているわけですが、ここでプロバイダをドコモ縛りにされると、まさにNTT一人勝ち状態。

これを避けるための妥協案として「ドコモ光は他のプロバイダも提供してOK」となったのではないでしょうか。

まとめと補足

ここまで読んで頂ければそれぞれの違いについてわかったのではないかと思います。

  • プロバイダ→インターネット提供会社
  • 光回線→光ファイバーケーブルを利用したインターネット回線

なので実はこの2つは大きく違いますが、ある理由によって多くの利用者、ユーザーは同じものだと思っています。

その理由は上述した通り、以前はインターネット=NTT回線だったため、「インターネットを選ぶ」と「プロバイダを選ぶ」が同意語で問題なかったからです。

現在は光コラボレーションの普及に加え、NURO光やauひかり、モバイルWi-Fiも増えてきたので、

「プロバイダをどれにするか?」

という質問が「NTTの」とは限らなくなってしまいました。

読んで頂ければわかる通り、「プロバイダ」という用語についてはおそらく30~40代以上の人がよく使う言葉で、20代以下になるとあまり主流ではない言葉のように思います。10代くらいになると全くピンと来ないかもしれません。

それくらい世代間で用語の使い方、捉え方が違うので注意したいですね。

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ねとみ
ねとみ
フレッツ光販売、電気通信事業会社の営業経験あり。 光回線やWiMAX、格安SIMなどについて解説しています。 ご意見、ご質問、お問い合わせはTwitterのDM、リプライでお気軽にどうぞ!
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