Softbankが新プラン「LINEMO」を発表したことで、今注目されているeSIM。
eSIMは、
- ショップに行かなくてもネット上で契約・接続設定ができる
- 国内外のデータ通信を、短期で契約できる
というとても便利なサービスなのですが、日本国内でeSIMのプランを提供しているのはまだIIJmioの1社だけでした。
本ページでは今後の普及が期待されている「eSIM」とは何か、基礎知識やメリットデメリットについて解説します。
【30秒でわかる結論】
eSIMとは「端末に組み込まれた書き換え可能なSIM」のことで、
- ネット上で簡単に手続き・初期設定ができる
- 長期間の契約縛り、解約金がない
という特徴があり、とても便利ですが
- 大手キャリアはまだ対応していない
- 対応機種が限られている
- 初期設定が少し手間
というデメリットがあります。
eSIMとは?
eSIMの「e」は「embedded(埋め込み)」という意味を持っています。
つまりeSIMとは「端末に埋め込むタイプのSIMカード」ということです。
さらにeSIMには「簡単に情報を書き換えられる」という特徴があります。
- SIMが端末に組み込まれている
- そのため物理的なSIMカードが必要なくなった
- ネット上で簡単にSIMの情報を書き換えられる
例えば従来のSIMカードの場合、ドコモなどのキャリアで契約をするときはショップに行って手続きをし、新しいSIMカードを発行してもらう必要がありました。
eSIMならネットで手続きをして、組み込まれているSIMカードに情報をダウンロードするだけで簡単に契約ができてしまいます。
eSIMを使うとどんなことができる?
eSIMを利用すると、下記のようなことができます。
- スマホ1台に対し2社の契約が可能
- 海外のデータ通信契約が簡単にできる
- 気軽に契約、乗り換えできる
スマホ1台に対し、2社の契約が可能
iPhoneXSなどのeSIM対応スマホは、今までのSIMカードとeSIMの両方が使える「デュアルSIM」となっています。
そのため今までのSIM契約はそのままに、eSIMで別の会社を追加契約するということが可能です。
<例>
SIMカード … キャリアや格安SIMで契約
eSIM … IIJmioのeSIMを契約して、通信量を安く済ませる
IIJのeSIM1日使ってデュアルSIM運用してみたけど、大手に比べて遅い時は確かにある。でも主回線のソフトバンクの容量(7GB)の節約のために6GB1500円はアリだと思う。
— ごいくが (@kuuga_AF) July 26, 2019
もちろんどちらか片方だけの利用でも良いのですが、2社の契約を併用することで料金が安くなったり、使い方の幅が広がります。
海外のデータ通信契約が簡単にできる
中国旅行に行くにあたって香港SIMを買おうかと思ってたけど、そういえばiPhoneXSってeSIMとかいう次世代のやつ対応してたやーんと思って早速購入してみた。SIMカードを入れ替えなくても電子決済で購入した回線のQRコードを読み込むだけで一瞬で登録完了。これで世界各国で10日間ローミングできるらしい pic.twitter.com/kDgnbAiAWf
— Shichiro (@pakuriman) April 14, 2019
海外旅行に行く時、今までは、
- Wi-Fiルーターをレンタルする
- 現地のSIMカードを調達する
- 国際ローミングを使う
などが主流でしたが、eSIMを使えば必要な分の海外データ通信量を、スマホで簡単に契約することができます。
参考:eSIMサービスを提供している事業者を探す|Apple公式サイト
海外キャリアの契約ページは英語表記のものが多いので手続きのハードルは高いですが、うまく活用すれば従来の方法よりも安く海外での通信ができるかもしれません。
また後で詳しくご説明しますが、auにも「海外eSIMプラン」があるのでauユーザーの方はそちらを利用するのもおすすめです。
気軽に契約、乗り換えできる
ケータイを乗り換えようとすると契約の縛りや違約金がかかったり、手続きが面倒だったりしますが、eSIMなら気軽に乗り換えすることができます。
例えば、IIJmioのeSIMプランは、
- 最低利用期間(最大2ヶ月)使えば違約金なしで解約できる
- 新規契約も解約もネットで簡単に手続きができる
というように短期間の契約で違約金もないので、すぐに乗り換えが可能です。
今後eSIMプランを扱う会社が増えれば、面倒な手続きも必要なく、気軽に好きな会社へ乗り換えできるようになるかもしれません。
もくじに戻るAndroid派の自分には今のところあんまり関係ないが、eSIMが普及して郵送やらいちいち乗換時にめんどくさい物理SIMから変わっていくと便利やなー。https://t.co/HjXUXgiTxv
— えふめん@凡人ブロガー時々クソコラー (@fmeeen) July 6, 2019
eSIM対応機種
eSIMに対応している機種は下記の通りです。
スマートフォン | iPhone XS iPhone XS Max iPhone XR |
タブレット | iPad mini(第5世代) iPad Air(第3世代) 12.9インチiPad Pro (第3世代) 11インチiPad Pro 2018 Surface Pro LTE Advanced |
eSIM対応機種はまだ少なく、特にAndroid端末ではほとんど対応していません。
スマホ以外にもeSIMの技術が使われている
スマホやタブレット以外にも、最新の高性能翻訳機などでeSIMが使われています。
- POCKETALK W(ポケトーク)
- Langogo(ランゴーゴー)
eSIM対応の翻訳機は、インターネットに接続することで高度な翻訳ができると人気です。
このようにスマホやタブレットだけでなく、色々な商品でeSIMの技術が活用されはじめています。
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国内初!IIJ mioがeSIMプランを開始
2019年7月18日から、IIJmioがeSIMプランの提供を開始しました。
項目 | ライトスタートプラン(eSIMベータ版) |
---|---|
月額料金(税込) | 1,672円(6GB) |
電話・SMS | × |
テザリング | ◯ |
容量繰越 | 翌月末まで可能 |
初期費用(税込) | 3,520円 (事務手数料 3,300円) (SIM発行手数料 220円) |
最低利用期間 | 契約日の翌月末まで |
まだ正式なサービスではなくベータ版(正式サービス前のテスト段階)ではありますが、国内初のeSIMプランとしてかなり注目されています。
大手キャリアでは1GB追加するのに1,100円(税込)ほどかかるのに対して、IIJmioのeSIMプランは6GB使えて1,672円(税込)と安いです。
また最低利用期間を過ぎれば違約金なしでいつでも解約できるので、必要な時だけ短期で契約できるもの嬉しいですね。
実はauにも「海外eSIMプラン」がある
auは2019年4月17日から「海外eSIMプラン」を開始しています。
項目 | auの海外eSIMプラン |
---|---|
利用期間 | 30日 |
料金(税込) | 5GB(6,380円) 8GB(9,790円) |
海外に長期滞在する方向けのサービスですね。
【au 海外eSIMプランと海外通信サービス(30日分)の比較】
サービス名 | 料金(税込) |
---|---|
au 海外eSIMプラン | 6,380円(5GB) 9,790円(8GB) |
イモトのWi-Fi(レンタル) | 21,120円(500MB/日) |
海外現地のデータSIM | 1,650円〜2,750円 |
Amazonなどのネットショップでは海外用のデータSIMがたくさん販売されており、料金は30日分で1,650円〜2,750円(税込)とかなり安いです。
ただし自分で調べてSIMを選び購入しなくてはなりませんし、初めて利用する場合「現地で本当に使えるかな…」という不安もあります。
auの海外eSIMプランなら手続きもアプリで簡単に出来て、サービスも信頼できるので安心して利用することができます。
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メリット
eSIMのメリットをまとめました。
- 物理的なSIMカードが必要ないので手続きがラク
- ネットで簡単に契約できる
- 必要に応じて、短期間だけの契約ができる
eSIMの1番のメリットは物理的なSIMカードが不要で、簡単にSIMの情報を書き換えできるということです。
ショップに行ってSIMを発行してもらったり、ネットで契約してSIMが発送されるのを待ったりする必要がなく、ネット上でSIMの情報書き換えができるのは本当に便利です。
XS MaxにIIJのeSIM入れてみた
データSIMだから15分くらいで契約が終わってeSIM発行されて超スピーディー
夜は回線スピーディー
ついでにいえば、IIJの表記はLTEで懐かしく感じる pic.twitter.com/zeMdGKNPDf— 甜花トーイツ A to Z☆ (@Yuzu_AYTK) July 23, 2019
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デメリット
eSIMのデメリットをまとめました。
- 大手キャリアはeSIM未対応
- eSIM対応機種が少ない
- 契約・初期設定が少し手間
eSIMのデメリットは大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)含め、eSIMに対応している会社が少ないことです。
現在、国内のeSIMプランを提供しているのはIIJmioだけなので、eSIMの「気軽に契約、乗り換えできる」という強みを活かしきれていません。
各社のeSIM対応はまだ時間がかかりそうですが、これから発売するスマホはeSIMに対応する機種が増えるのではないかと予想されているので、今後の展開に期待したいですね。
契約・初期設定が少し手間
これまで「eSIMはネット上で簡単に手続きができる」と説明してきましたが、事前の準備や初期設定など、少し手続きが必要です。
【例: IIJ mio eSIMプランの契約方法】
- スマホがeSIM対応機種であることを確認する
- SIMロックがかかっている場合、ロック解除の手続きをする
- IIJ mioのサイトから申し込み手続き
- 接続設定をする
参照:eSIMプランご利用開始までの流れ|IIJmio公式サイト
- 利用開始
少し手間はありますが、SIMロックの解除もIIJmioの接続設定も実際やってみると意外と簡単ですし、時間もさほどかかりません。
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eSIMについて簡単にまとめました。
- eSIMは、端末に埋め込まれている書き換え可能なSIMのこと
- ネットだけで契約手続き・利用設定が完了する
- 長期の契約縛りもないので気軽に契約できる
- eSIMが普及すれば契約の幅が広がるが、まだ対応機種もサービスも少ない
まだあまりサービスが普及していないeSIMですが、取り扱う会社が増えればケータイ契約の選択肢が大幅に広がりそうですね。
eSIMが普及すると気軽に他社へ乗り換えできてしまうので大手キャリアは導入をためらっているとの見解もあります。
IIJmioのeSIMプラン開始をきっかけに、eSIMサービスが広がることに期待です。
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